針金犬と僕のアパート

Monaghan2006-10-03

文章で説明するのが難しいので,ものすごい手抜きの絵で失礼。飼い犬を庭先に拘束しておくのに,右図のような方法をとっているのを良く見かける:犬の首輪につながった縄の一方の先端に輪がついている。輪は長く張られた針金とつながっていて,針金に沿った直線上を,するすると動くようになっている。単純に杭に繋がれているときよりも,犬は広い範囲を移動する事が出来るので,賢いやり方に見える。

しかし図のようなやり方て繋がれた犬は大抵,右に左に彼の行動範囲をめいっぱい使って走り回り,ギャンギャン吠えて全く落ち着いていないような気がする。あくまで僕の記憶の範囲内であるが。

多分理由はこうだ。犬は拘束されていると,自分の動く事の出来る範囲が自分のすみかであると錯覚するのではないか。長さrの縄でもって杭にに繋がれている場合,彼の動ける面積は高々πr^2とごく狭いので,その範囲だけを警戒すればよろしい。近くを人が通っても,そもそもの「要警戒面積」が狭いので動揺する事は少ない。
しかし図のように行動範囲が広くなってしまうと,犬はより広い範囲を,外敵から警戒しなければならない。そうすると気が休まる事が少なくなって,ギャンギャン吠えて回るのだろう。

飼い主は,犬に勝手な感情移入をして
「僕だったら,杭に固定されていたら気が滅入る。だから少しでも広い範囲を動けるように,針金を付けてあげよう」
とおもって,図のような拘束の仕方をするのだろう。しかし犬が人間と同じ感情を持っている保証は何処にもなく,余計なお世話なのである。こういう事は人間同士の場合でも良くある事なので,気をつけなければ。


こんな事を長々書いて何が言いたいのかというと,僕は名取にやってきてから,以前より少し広いアパートに済んでいる。そして僕は病的なほど奇麗好きである。広いアパートに住んでも,すべて範囲を奇麗にしておかなければ気が済まない。なので最近は,年がら年中クイックルワイパーを握っている気がする。上の犬と全く同じである。