ホットケーキと剣玉

ホットケーキを作るときは、フライパン全体に生地をひいて、目一杯おおきなやつを作るようにしている。粉が入っている箱に印刷されている「作り方」では、生地を垂らして直径10センチほどの円盤を作り、片面を3分焼くなどと書いてあるけれど、そういう小さなことはしないのである。片面を焼くのにも10分くらいかかる。子供の頃、母親が作ってくれたホットケーキはいつもこの形式で、小さく焼くよりもおいしい気がする。

ひっくり返すときは、それなりの技術が必要です。

ところで剣玉には「地球回し」という壮大な名のついた技がある。地球回しとは、玉が刺さった状態で剣を持ち、玉を上空へ跳ね上げて一回転させ、また剣に刺すという上級技である。僕などは剣玉が得意なので、この技を5回くらい連続して行うことができる。それはさておき。ホットケーキをひっくり返すのは、剣玉の応用である。上記の地球回しを行うときは、玉の放物運動と同じ速度で、自分の頭を上下させるのがコツ。すると、玉が止まって見えるので玉の穴の位置を容易に観測でき、ふたたび剣に刺すことが可能になる。

ホットケーキをひっくり返すときは、宙を舞うホットケーキと同じ速度で、自分の頭を動かす。するとホットケーキの回転運動だけが見えるので、うまく半回転したタイミングをつかむことができるのだ。