カット&パーマの帰り道でのできごと

3時ころに床屋にいって、カット&パーマをたのむ。もじゃもじゃした頭になって外に出ると、もう空が暗くなっている。ずいぶん、日が短くなった。

帰り道、自転車に乗って走っていたら、10歳くらいの小さな女の子が
「すみませんー!」
と話しかけてきた。手にキク科の雑草のような橙色の花をもっていて、「これどうぞ。」という。突然のことで面食らってしまい、ぼくは映画「ランボー」の有名なラストシーンを思い出した。ベトナムから帰還せんとするアメリカ兵が、靴を磨かせてほしい頼むベトナム人の子供の相手をしていて、子供が道具箱をあけた途端にドカンと大爆発した、というアレだ。花に仕掛けがしてあって、毒ガスがブシューとか飛び出してきたらどうしようと思ったけれど、そんな馬鹿なこともないか。「あ、ありがとう」とお礼を言って受け取った。
「この前、あったひとだよね?」
という。
「いえ、初めて会うだと思うよ。」
「あー、わすれちゃったんだ・・・」
と悲しい顔をする。これは新手の宗教かなにかの勧誘だろう、それにしても子供をだしに使うとはケシカラン。でも僕が介入できる問題じゃあないなと考える。会話もそこそこにバイバイを言って、また自転車をこぎ始めた。すると女の子がわらいながら追いかけてくる。なんだか怖くなってきて、「あぶないからやめなさい」というのだけれど、それでも彼女はしつこく走って追ってくるのだ。次のとたん、ドカン!と体に衝撃が走って歩道脇の電信柱に衝突してしまう。なんという古典的なドジをやってしまったのか。追いついてきた女の子が、「ちゃんと前を見て走らなきゃダメだよ」と言って笑っている。危なっかしいのは僕の方であった。

そのあと、なんとか女の子を振り切って、帰宅する。自転車のハンドルに身体をぶつけていたようで、右の脇腹に大きなアザができていた。