ひろうえん

天気予報は、晴れると言っていたけれど、空は終日薄曇り。夕方はすこし時雨れた。

披露宴は、午後1時から始まって、3時半頃には無事に終わる。宴の間は、頭が真っ白けな状態になっていて、よろこびも恥ずかしさも感じる余裕がなかった。流れの速い川に、ドボンと投げ込まれ流されている内に、事が済んでしまったという感想。

僕は今まで、「〜〜式」と末尾に「式」がつくものを、総じて軽く観ていた。披露宴には式はつかないけれど、似たようなものだ。あんな単なるセレモニーに数百万ものお金をかけるのは、あほらしいなと考えていた。けれど、儀式には、具体的に目に見えない意義がある場合が、多いのかも知れない。僕らの披露宴に関して言えば、北海道の奥地の方にすんでいる、母親の兄弟が、何十年ぶりに全員集まり、楽しそうにしていたのが印象的だった。それだけでもやって良かった。

いままで自分が軽く見ていた他の色々な対象にも、見落としていた価値があるのかもしれない。それらをもういちど考え直して、姿勢を改めなければいけないなと思った。少し大人になった気分である。

二次会を終えて、夜、妻と仙台駅前のデッキをあるく。冷たい風が吹いていて、時々、小さな雨粒が顔にあたるのが心地よい。八年ほど前の四月、はじめて僕は仙台にやってきて、同じようにここを歩いたのだった。まさか八年後、こういう気持ちで同じデッキを歩くことになろうとは、全く想像できなかったな。