夏休みとパソコンゲーム

夏のある日。陽炎で霞む坂の向こうから、自転車に乗った少年が走ってくる。下り坂に至った彼は「ウキョーーー」などと喜びの絶叫。左手を振り回しながら、全速力で滑降してくる。なにごとかと僕はびっくりした。

小学生の頃の夏休みって、人生の一つの絶頂であったな。

暑さの夏がようやく終わったようだ。この学校の夏休みも今週いっぱいでおしまいであり、少しさみしい気分。

研究室前の廊下は、学生の共用スペースを兼ねていて、パソコンが数台設置してある。文化部の学生が3人、夏の間中、朝から晩までそのパソコンにかじり付いていた。

何を熱心に作業をしているのだろうと覗いてみると、彼らはゲームをしている。年長の一人は、仮想的三次元空間の中を軍人がうろうろと歩き回ったり空を飛んだりするゲームに、没頭しており、2人の下級生がそれをとりかこんで笑いながら眺めつつ、同時に手元のPSPを操作している。または、「ニコニコ動画」という動画サイトに投稿された、どこかの誰かがゲームを遊んでいる映像を日がな一日眺めている。
「なにをしてるの?」
と尋ねると「休憩中です。」とのことであるが、彼らはもう4時間以上も休憩しているのだ。窓の外ではぎらぎらと太陽が輝き、真っ白の入道雲が湧き上がっているというのに。

僕は、17歳前後の夏を、そのようにして過ごす彼らが不憫で仕方がないのですが、同僚にそのことを話すと
「まあ、人生はどうせ無意味ですから」
というような意味で諭された。

然り!
僕がこの夏に取り組んできた研究も、ゴルフのスコアアップも、彼らの仮想三次元ゲームも、悠久の視点から眺めれば、似たようなものですね。うむう。

しかし、たとえ人生が無意味だとしても、彼らのような夏休みの過ごし方は最低であると思うのです。