T字ひげそりについて(長文)

いままで、4枚刃の派手なひげそりを使っていた。複雑怪奇な形状をした柄は、意味があるのかどうかわからないけれど、スイッチを入れるとブルブルと振動する。刃を装着するヘッドは上下左右と実にフレキシブルに可動して、とにかく多機能なの。

ところが、三年以上も使っていると所々にカビが生えてくる。不潔なので、買い換えることにした。それで、近くの薬局に行って男のひげそりコーナーを見ていたら、びっくりすることに、最近は5枚刃カミソリがあるのですね。数ミリのスペースに5枚もの刃を平行に並べる技術には感服するけれど、なんだかちょっと、クスッと笑ってしまうようなバカらしさもある。

銭湯の脱衣所なんかに「ご自由にどうぞ」とおいてある使い捨てのカミソリは、たいがい1枚刃だ。あれで髭を剃ると、血だらけになってしまう。だから、2枚刃カミソリは、とても革命的な商品だった。もはや血が出ることは滅多になく、そり心地は格段にアップした。

日本に3枚刃が登場したのは、僕が大学院に入学した頃だった。当時、研究室から僕用ににあてがわれたパソコンは、Pentium3という最先端のCPUを搭載していた。
「切断とか破壊の物理にはくわしくないけれど、3枚刃のひげそりは、あまり意味がないんじゃないかな。ぺん3は、速いけれど、」
なんて男の会話を、喫煙所で先輩のS氏と交わしたことを覚えている。ところが、3枚刃のひげそりは、革命的とは言わないまでも、2枚刃にくらべて心地がよかった。僕はすぐに3枚刃に乗り換えた。まだPentium2を使っていたS氏にも、「よかったですよ」と教えてあげた。

Pentium4が発売されてまもなく、まさかとはおもったけれどバカらしいことに4枚刃ひげそりが発売された。試しに使ってみたら、3枚刃よりもさらに良いような気がした。

それからさらに数年、Pentium5が発売されることはなかった。CPUの集積度はだんだんと限界に近づきつつあるようで、最近はCoreDuoとか、別の方向に進んでいる。ところがまさかとは思ったけれど、5枚刃ひげそりは登場した。いったいどこまで行こうというのか*1

さすがにバカらしいので、原点に返って上の写真の2枚刃ひげそりを買った。柄もシンプル。しかしそり心地はとても良い気がする。枚数が多いのもよいけれど、刃をこまめに交換することのほうが大事なのだろう。換え刃が安いのも有利だ。

*1:しかし限界は明白である。刃の間隔はヒゲの太さより狭くなってはならない。