(野球)振り逃げの変形解釈学に向けて

野球のルールはなかなか複雑ですが、特に「振り逃げ」の意味が分からず、僕はもう何年も悩んでいます。

どうして「振り逃げ」なんてルールを、わざわざ設ける必要があるのだろうか?三振したらアウトでよいじゃない。と思うわけです。ルールとして振り逃げは、だいたい次のように説明されています:

振り逃げ(uncaught third strike)

バッターが三振を喫したのち、捕手が「正規に」ボールを捕球しなかった場合、バッターは走者となり、一塁に進塁することが出来る。

ただし例外があって

  • 1塁に走者がいて、1アウト及びノーアウトの場合………(1)

振り逃げは認められない。ただし2アウトの場合はOK。

『「正規に」ボールを捕球しなかった場合』とは、

  • 捕手がボールを捕球後に地面に落とした場合………(2)
  • 捕手がボールを捕球後に「お手玉」した場合(指摘を受け追記………(2')
  • フォークボールなどを)ワンバウンドで捕球した場合………(3)

を言う。

これはなんだか奇妙なルールです。野球を考案した人が、上記をわざわざ「振り逃げ用特例ルール」としてルールブックに書き込んだとは、ちょっと考えられない。「三振はアウト」とした方が自然です。

もっと単純でプリミティブなルールが幾つかあって、それらの解釈から自然に振り逃げルール」が派生するはずだと思うのです。そうでなければ、わざわざ振り逃げなんてルールを作ったりしないと思います。つまり要素還元主義です。

ちょっと調べてみても、満足できる振り逃げのよい説明が見つかりません。そこで、間違ってるかも知れませんが、とりあえず自分で変形型の振り逃げの解釈を作ってみました。野球に詳しそうな方*1にコメントいただいて、徐々に完成させたいと思っています。

まず、アウトを定義します。

アウトになる条件:

  • 塁上に居ない走者が、ボールをもった野手に触球された場合。タッチアウト。………(4)
  • 走者が占有権を持つ塁が唯一の場合、その塁に走者が到達するより早くボールをもった野手が触れた場合。フォースアウト。………(5)

そしてもう一つ、不細工な日本語ですが

  • 投手の投球後、打者が走者となった場合、ボールがノーバウンドで野手に捕球された場合。………(6)

そして、上記(6)の「打者が走者になる」条件を次のように定義する

「打者」は、次の瞬間に「走者」になる:

  • ボールをバットで打つ。………(7)
  • 三振する。………(8)
  • 四死球を受ける、または投手がボークをする、または打撃が妨害される………(9)

ただし、(7)について、打球がファールと判定されれば、打者に復帰する。(9)の場合に限り無条件で進塁できる。

以上です。(8)のように三振を定義していることがポイントです。上記の2種類の定義から「振り逃げ」が自然に派生すると思います。

つまり、(8)より、三振を喫した打者は走者になるのだから、進塁を試みることが出来る。(6)より、ボールがノーバウンドで野手(殆どの場合は捕手)に捕球されてはじめてアウトになる*2。捕手がボールを捕球し損なった場合、または捕手の前でワンバウンドした場合は、守備側は1塁で走者をフォースアウトにするか、走者に触球して、タッチアウトにしなければならない。

ちなみに、振り逃げが出来ない例外(1)は、捕手が故意に落球して、ダブルプレーを試みることを禁止するための特別措置である(インフィールドフライに似ている)。

*1:もりしさん、terhyさんなどお願いします。名指しで失礼

*2:審判は「ストライク・バッターアウト」とコールするが、正しくは「ストライク・ランナーアウト」である(?)