トマトトーン

おじいさんは、僕の自宅で一日中テレビをみて過ごしていて、国会中継などを見ているときが一番幸せだと言う。それでも退屈でしょうから、ベランダでのトマト・なす・ピーマン栽培を一挙に担ってもらっている。


今朝、ナスの花が咲いた。僕はこの花を初めて見た。おじいさん曰く

「花が咲いたら、トマトトンを買ってきて、チャッチャッてつけねばなんない。」
「とまととん?」
「そうそう、トマトトン。」

ぼくはおじいさんが何を言っているのかさっぱりだった。しかし数日後、おじいさんは妻と実家の方へ出かけた帰り、トマトトンなるものを買って来た。

220円なり。この薬液を50倍に希釈して、花に浸すと、受粉が促され、確実に実がつくのだという。パッケージのデザインも秀逸だし、トマトトーンとはなんとも耳に心地よい響きである。