土地を買いたいな。

僕はいま、土地を買おうと思っている。土地の値段は、駅や小学校までの距離とか、日当りとか、そういった利便性をもとに決まってくるのだろう。それ以外に、地盤の強さも重要で、これが緩いと、丈夫な家を建てても地震で傾いてしまうかもしれない。それではいかんので、土地を売る業者は地盤をあらかじめ調査している。その質は地価にしっかりと反映されているのだろう、と僕は思っていた。しかし違った。

職場の近くに、住宅地が造成されていて、その一体の土地を取り仕切る公社をたずねた。そこの男性所長曰く、

「売買の契約を行ったあと、地盤を調査します。それが緩い場合、表層改良で済むばあいは当社で負担しますけれど、くい打ちまで必要となると、費用をお客様にご負担いただきます。」

だって。さらに、改良が必要な区画は、全体の3割にのぼるという。3割はおおきい。そもそも、調査が契約の後というのが、納得いかない。それで、くい打ちが必要だったのはその3割のうちの何%ですか?と質問すると、

「数えたことが無いから判りません。」
「じゃあ、くい打ちが行われた区画がどのように分布しているか教えてくれますか」
「いや、それは個人情報なので、、、」

という。僕はここでイラッとして、語気を強めた。所長はしばらく、訳の分からないことを言っていたが、押し問答のあげく、いくつか情報を数えてもらうことになった。土地はまだ買ってません。

にしても、100円のリンゴだったら、食べてみないとすっぱいか甘いか判らなくても良いけれども、一生に1度の高い買い物について、買ってみないと緩いかどうか判らん、というのは、あまりに横暴なものの売り方ではないか。しかもその地盤の調査は、人力で杭をさしていくだけの、あきれるほど簡単な調査なのだ。不動産業界には、不合理なことが沢山ありすぎて困る。