反時計回りに

大学生の頃、友人が
「時計が怖い、とくにデジタル時計が怖い」
と言っていた。刻々と数字が切り替わっていく様が、レポートの締切やまたは自身の命のカウントダウンに見えてしまい、自分に残された時間が確実に削られていくのをまざまざと感じてしまうからだという。

明日からは学校の学園祭があり、周囲が慌ただしく動いている。となりのT先生が、私のところにやってきて
「こんなものを作りましたよ。」
と時計を見せてくれた。秒針が反時計回りにまわっている。分解して、内側に仕込まれている磁石をひっくり返したのだという。

反対周りの時計を眺めていると、なんだか不思議で、癒されるような気分であった。