我が子のこと2:「嘘も方便」について

妊娠中の妻は、定期的に通院していて、その度に超音波で撮影したおなかの中のフィルムを持ちかえってくる。
「これが足で、これが頭。」
と妻から説明を受けるものの、写った胎児の姿はどうしても心霊写真のようにしか見えない。将来の我が子に体する僕のイメージも、まさに亡霊さながらにぼんやりしたままだ。

そんな先日、超音波映像のなかに、ある突起物の存在が認められた。その結果、ベイビーは男の子であると判明した。男の子....!

女の子でも、面白そうかなと思っていた。男の子となると、教育のイメージ(こういう大人になってほしい)がより具体的に思い描ける。一方、自分の娘に対する理想の女性像というのは、何故かほとんど想像ができない。


今朝は仕事への行きがけ、コンビニエンスストア「ローソン」に立ち寄り、冷たい缶コーヒーを買った。
「Tポイントカードはお持ちですか?」
と問われて、確かにそれを持っている僕は
「持ってません」
と嘘をついた。


我が子に対しては、まず始めに「嘘をついてはいけません」とプリミティブな教育をなすのが当然だ。成長するにしたがって、「嘘が必要なときもあるのです」と例外的な状況を、彼は理解する必要があるだろう。その説明のために、がん患者への病名告知のような希有な状況や、本当のことを言って相手を傷つけないために...なんて言ういい人ぶった例を挙げる必要はない。

「Tポイントカードはお持ちですか?」
「Tポイントカードは持っていますけれど、僕はTポイントを貯めることに有意義さを認めないので、ポイントは貯めません。」

と答えたら変人的であるし、たとえ今朝、僕がそう答えたとしても、また明日同じことを問われるだろうから、「持ってません」と嘘をつくのがベストである。将来の我が子には「嘘も方便」をそのように教えたい。